■草原の鳥は53%減、生息地の減少や農薬のほか窓ガラスや猫も原因
森をハイキングしたり街の公園を散歩したりするだけでは気づかないかもしれないが、新たな研究によると、北米の鳥の個体数は静かに、だが急激に減り続けている。9月19日付けで学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、760種の鳥が生息する米国とカナダでは、1970年と比べて約30億羽も減少したことが明らかになった。
おなじみのスズメやウグイス、ムクドリモドキ、アトリなどをはじめ、草原に生息する鳥が最も深刻な打撃を受けており、その数は過去48年間で53%も減少した。田畑を含む草原に暮らす種の4分の3近くが減少傾向にあり、これらの生物群系は、生息地の喪失や有毒な殺虫剤に対して特に弱いと考えられる。鳥の激減は、重要な餌である昆虫が大幅に減ったことも関連しているかもしれないという。
「衝撃的かつ壊滅的な結果だと捉えるべきです」と、論文の共著者で、米ジョージタウン大学のジョージタウン環境イニシアティブのディレクターを務めるピーター・マーラ氏は話す。
鳥は、生態系が健全に機能する上で極めて重要だ。翼をもつこの友人たちは、害虫や昆虫の抑制に役立つだけでなく、種子の散布や腐る死骸の処理、さらには植物の受粉にも重要な役割を果たしている。
■鳥を減らす要因
マーラ氏の研究チームは今回、北米全域における鳥の個体数を推定した。その調査は529種に及び、中には約50年分のデータが得られたものもあった。これには、気象レーダーによる推定値も含まれる。気象レーダーでは、夜の間に渡る鳥を実測できる。そのおかげで、極北のように、地上からの観測があまり行き届かない地域での生息数の変化を算定できた。
すべてを合計すると、1970年から29億羽も減少していることが判明した。これは、全体の29%に相当する。
北米に生息する鳥は多種多様だが、その減少にはいくつか共通の要因がある。「人間が地上を劇的に変えてしまったことは、米国を横断して飛ぶだけでわかります」とマーラ氏は話す。「失われた生息地ばかりが目につくのです」
殺虫剤の乱用により、餌となる昆虫の個体数が減少しただけでなく、鳥自身にも害が及んでいる。最近の研究により、ネオニコチノイド系殺虫剤が付着した種を鳥が食べると、すぐに瘦せ細り、渡る時期が遅れてしまうことが判明した。
また、別の研究では、毎年約6億羽が窓ガラスに衝突して死亡し、毎年10億〜40億羽がイエネコに狩られていると推定されている。
犠牲が増えていることは明らかだ。
続きはソースで
ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/092400548/